JapanDesk

日本との取引で止まる書類について、実務でその書類を出している側が書いています。

日本の買い手が料金ページで見ているもの(そして、タブを閉じる理由)

米ドル表示のみの料金ページから日本の訪問者が離れる理由、総額表示と特商法の公表ルールが実際に述べている内容、そして何を足すか。

公開 2026/9/23 · 更新 2026/9/23 · 一次情報6件で確認 · 下書きと検査は自動、公開前に人が確認

何が起きたか

マーケティングサイトを日本語化した。日本からの流入は増えた。申込は増えない。

落ちているのは料金ページです。r/SaaSのある創業者は、米ドルのみの料金表を円表示に変えたところ、一四半期のうちにコンバージョンが動いたと書いていました。文章はその数か月前から日本語になっており、詰まっていた原因は文章ではなかったということです。

日本の訪問者は、料金ページを売り込みではなく書類として読みます。請求される金額、税の扱い、誰から買うことになるのか、その会社はどう請求してくるのか。この四つのうち三つにしか答えていないページは、日本の顧客を受け入れる準備ができていないページとして読まれます。

この記事では、そうした読者が確認する項目、価格表示と販売者の情報開示について日本で公表されているルールの内容、そしてそのルールが誰を拘束するのかを扱います。自社にどのような義務があるかを判断するものではありません。その問いは弁護士または税理士の領域です。

日本側で何が起きているか

まず通貨です。ドル表示の価格は、読者にレートの見当をつけさせ、カード発行会社の為替手数料を負わせます。円表示の価格は、そのまま社内の稟議に乗ります。

次に税です。国税庁の通達では、総額表示の義務は、課税事業者が消費者である取引相手にあらかじめ価格を表示する場合に、表示媒体を問わず適用されるとされています(出典)。他の事業者のみに対する提供で、事業者向けであることが客観的に明らかな場合は、その対象から外れるとされています。国税庁の平易な解説ページも、同じ内容を一段落にまとめています(出典)。あるページがこの線のどちら側に位置するかは、税理士に確認してください。

次に販売者の情報です。通信販売について、消費者庁は広告に表示すべき事項を挙げています。販売価格、送料、支払いの時期と方法、引渡しの時期、解除に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号、法人の場合は代表者の氏名です(出典)。

この枠組みは消費者取引を対象としています。その適用除外は「営業のために若しくは営業として」締結される契約を対象とし、個別の事案ごとに判断されるとされています(出典)。日本に向けて広告を行い、日本の居住者に販売する海外の事業者は、除外されるのではなく対象に含まれるとされています(出典)。

クレジットカード登録不要と記したトライアルのボタンは敷居を下げます。暗号化、再委託先、データの所在を書いたセキュリティページは、PマークやISMS認証がなくても読み手に伝わります。問い合わせフォームと返信の目安は、チャットウィジェットより評価されます。日本企業のロゴは、日本の購買部門を通過した実績として読まれます。

どうすればいいか

  1. 表示価格を円に切り替える。 換算した数字ではなく、きりのよい数字にします。4,800円は価格として読まれ、4,732円は為替レートとして読まれます。
  2. すべての金額に税の扱いを明記する。 数字の隣に税込または税別と書き、決済画面の明細には円建ての税額を表示します。
  3. 年額プランと請求書払いの経路を用意する。 年額の金額と、カードを使えない企業向けの「請求書でのお支払い」の選択肢を提示します。
  4. 受け入れる支払サイクルを明示する。 月末締め翌月末払いが、多くの購買部門で前提になっています。
  5. トライアルからカード登録の条件を外す。 トライアルのボタンに「クレジットカード登録不要」と置き、トライアルがどう終了するかを書きます。
  6. 会社情報のページを公開する。 会社名、代表者、住所、連絡経路、事業内容を日本語で記載し、フッターから辿れるようにします。
  7. 特定商取引法の表示ルールが自社の販売に及ぶかを弁護士に確認し、及ぶ場合は下のひな形の項目に沿ってページを作ります。
  8. チャットのみのサポートを、フォームと返信時間の明示に置き換える。 「1営業日以内にご返信します」は、買い手が社内で引用できる約束です。
  9. セキュリティページを追加する。 暗号化、ホスティングの地域、再委託先の一覧、セキュリティに関する問い合わせ先のメールアドレスです。
  10. 料金ページチェッカーにページをかけて、日本の読者が見つけられない項目を確認します。

請求書も指摘付きで戻ってきている場合は、次に相手の経理が確認していることをご覧ください。全体の流れは日本企業への販売にまとめています。

ひな形

消費者庁が通信販売の広告について挙げている表示事項です(出典)。

項目内容
販売価格(役務の対価)販売価格、または役務の対価
送料送料
販売価格以外に必要な費用買い手が負担するその他の費用
代金の支払時期・支払方法いつ、どのように支払うか
商品の引渡時期(役務の提供時期)引渡しまたは役務提供の開始時期
申込期間に関する定め申込期間の定めがある場合のその内容
契約の申込みの撤回・解除に関する事項撤回および解除の条件
事業者の氏名(名称)販売者の氏名または名称
住所住所
電話番号電話番号
代表者または責任者の氏名法人がインターネット広告を行う場合の代表者または責任者

消費者庁のQ&Aでは、請求があった場合に遅滞なく書面を提供する旨を広告に記載し、かつ遅滞なく提供できる措置を講じている場合には、住所と電話番号を省略できるとされています(出典)。その場合の一文の例です。

事業者の住所及び電話番号は、ご請求があった場合には遅滞なく電子メールにて開示いたします。

The seller’s address and phone number will be disclosed without delay by email upon request.

専門家に頼む場面

特定商取引法が自社の販売に及ぶかという問い、利用規約と返金条件は、弁護士または行政書士に依頼する場面です。消費税の登録、価格に税をどう含めるかは税理士の領域です。円の金額を書くこと、税の表記を入れること、セキュリティページと問い合わせフォームを作ることは、社内で扱える作業です。

よくある質問

総額表示の義務はB2BのSaaSにも適用されますか。

国税庁の通達は、この義務を、課税事業者が消費者である取引相手にあらかじめ価格を表示する場合として枠づけており、他の事業者のみへの提供で、事業者向けであることが客観的に明らかな場合を除いています(出典)。個別の商材がどちらに位置するかは、税理士に確認してください。

日本法人のない海外企業にも、この表示ルールは及びますか。

消費者庁のQ&Aでは、日本に向けて広告を行い、その商品を日本の居住者が購入する海外の販売者は、適用除外に当たらないとされています(出典)。特定のサービスにどう当てはまるかは弁護士への問いです。

自宅の住所を公開しなければなりませんか。

消費者庁のQ&Aでは、請求があった場合に遅滞なく提供する旨を広告に記載し、実際に提供できる場合には、住所と電話番号を記載しないことが認められるとされています(出典)。

「11,000円(税抜価格10,000円)」という表示は認められますか。

通達は、この形式を総額表示の例の一つとして挙げたうえで、税抜価格を強調して読者に誤認を与える表示はこれに当たらないとしています(出典)。

円表示に変えればコンバージョンは改善しますか。

障害が一つ減ります。請求書払いの経路、税の表記、会社情報のページもそれぞれ別の障害を取り除くもので、買い手は欠けている項目のところで止まる傾向があります。

キット

このテーマのキットを制作中です。日本語の料金ページのチェックリスト、記入式の特定商取引法に基づく表記のテンプレート(日本語・英語)、セキュリティページの構成案、円建ての価格表示のコピー例が入ります。公開はまだ先です。公開のお知らせを受け取るにご登録いただければ、公開した週にお送りし、根拠となるルールが変わったときの更新もあわせてお届けします。

この記事が古くなる条件

この記事が古くなる条件

  • 国税庁が総額表示のルール、またはその範囲を説明する第18章の通達を変更したとき
  • 消費者庁が特定商取引法上の通信販売について、広告に表示すべき事項を変更したとき
  • 住所と電話番号を請求があるまで省略できる条件が変わったとき
  • 日本の消費税率が変わったとき

いずれかが起きたとき、この記事は出典の再確認に回ります。

出典

この記事は、上記の出典として挙げた公開情報を整理したものです。税務・法務・入管に関する助言ではありません。個別の事案にどう適用されるかは、税理士または日本の弁護士にご確認ください。

この記事は次の場所で出た質問から書かれています: reddit 。質問した本人の文章は引用していません。

役に立ちましたか?

新しい記事をメールで受け取る

月に2通。新しい記事と、日本側で変わったこと。解除はワンクリックです。

このページの内容